セレブリックスの今井晶也さんの『Sales.is(セールスイズ)』を読了。
「科学的に成果をコントロールする営業術」というサブタイトルの通り、精神論だけではなく、再現性の高い営業メソッドの一つ一つが、学びになることがばかりで、とても勉強になりました。
今井さんの所属されている営業代行のプロフェッショナル「株式会社セレブリックス」のホームページはこちら。これまで12000を超える商品やサービスの営業戦略の立案・販売活動をされてきた実績のある企業です。
本書の一部分を引用しつつ、書評させて頂きます。
「営業力」よりも「探客力」だ
本書では、トークスキル・セールステクニックなどの「営業力」を磨くよりも、「探客力」を磨くことこそが、成果を出すための最短のステップだと語られています。
正しい営業力を身につければ、一部のお客様を「買わない」から「買いたい」に変えることができます。しかし、それはあくまで一部のお客様です。
新規営業ではどうしても買ってくれないお客様の方が多くなります。したがって、ニーズがあるか、もしくは買う可能性があるお客様を探すことの方がずっと重要になります。
「探客力」とは、”購入してくれる可能性の高いお客様を探す”力のことです。
正しい「探客力」を身につけるためには、日頃の情報収集や、マーケットの課題に目を向けて、蓄積した情報を「ターゲットリスト」にしっかりと落とし込んでいくことが大切です。
そのためには、正しい「ターゲットリスト」の作り方を理解する必要があります。
「ターゲットリスト」に魂を込めずに「新規営業」は成功しない
本書で言われている「ターゲットリスト」とは、いわゆるテレアポリスト。
一般的に営業マンは「リスト管理」こそが肝だと言われてますが、僕自身、現役バリバリだった頃も含めて、魂を込めてまで「リスト管理」をやり切れていたかと言われると、今思えば、ずさんな管理をしていたなぁと思い知らされます。
その都度得られた情報を、なんとなぁく事務的にExcelデータに記録していただけだったと思います。
100時間のリスト作成時間は投資ですが、1000時間の間違った営業時間は浪費でしかありません。お客様との繋がり方に頭を使いましょう。
まさに耳の痛い言葉ですが、確かに正しい「リスト作成・運用」に時間を使うことは、闇雲に営業活動をするよりも、資産性の高い時間だと言えます。
本書では勝利をもたらす「ターゲットリスト」の「重要な4要素」を以下のように定義されています。
①精度:そのリストはニーズの高さを基準にリストアップできているか
②鮮度:このリストのお客様は「一番良いタイミング」で営業できるか
③具体性:アタックすべきキーパーソンの情報や、事業課題、連絡先などが取れているか
④絶対数:売上目標を達成するためのリスト数があるか
この4要素を守ることは「受注確率」を格段に上げるだけではなく、新規営業活動における「無駄なアプローチ」を減らすことにも繋がると思います。
ターゲットリストを作ることに時間をかけたものの、そもそもターゲットとしてニーズがない企業が混じっていたり、何度もかけているのに、キーパーソンの情報や、ニーズが発生するタイミングすら把握できていなければ、いつまで経っても成果を出すことは難しいでしょう。
限られた時間内で、成果を最大化させるためには、ターゲットと接触した時の記録や、商談時の情報などをもとに、定期的にターゲットリストをメンテナンスする事が大切だと思います。
お客様の「役に立つ存在」になる
よく営業マンは「GIVEから始めよう」と言いますが、一般的な営業マンは、自分たちが売りたい「商品の価値」をお客様に訴求することで「役に立とう」と考えたりしてしまいます。
○○の事でお困りではないですか?
○○の面でお役に立てればと考えておりまして…。
このように「街中の占い師」と同じような、「あなた、本当はこんな悩みがあるんじゃないですか?」と訴えかける営業手法は「GIVE」ではなく「TAKE」だと言えます。
まさに、自分たちの目標を達成したいだけの、ただの「押し売り」です。
営業パーソンがお客様とコミュニケーションでリサーチできるようになるには、お客様の関心事や役に立つ情報を「営業側から先に提供」して、信じられる人になる必要があります。
まずは、営業側からお客様の立場になって、お客様の「役に立つ情報提供」をすることが大切。
例えば、耳寄りな情報コンテンツ(顧客事例・レポート・業界トレンド)を提供することから始めて、お客様にとって「役に立つ存在」になった上で、コミュニケーションをとるからこそ、本音・悩みのような、意味のあるヒアリングができるようになるのだと思います。
行動量は常にトップギアが当たり前
「量よりも質」という言葉がありますが、確かに質にこだわることだって、とても大切ですが、トップセールスと呼ばれる人たちは、誰よりも汗をかいてます。
結果を出している営業マンで、量をやっていない人なんて見たことないです。
トップセールスにとって行動量を常にトップギアにしておくことは当たり前なのです。
トップセールスと呼ばれる人たちは、量をやるという考え方ではなく、もう量をやることがそもそもルーティンワーク。当たり前な状態になっているのだと思います。
そして、その量をやり続けられる「当たり前な状態」とは、常に自分の限界を、少しずつ破り続けていけるマインドなのだと思う。
1日10件コール数を増やせれば、営業日が20日だとして、月間200件×12ヶ月=年間2400件増やせる。
1時間に2件の架電を増やせる人が1億円以上のパフォーマンスの差を生むわけです。トップセールスとそうでない営業パーソンとの差は、こうした「微差へのこだわりと執念」です。
『微差が大差を生む』この言葉の通り、少しずつ限界を破り続ける習慣が、圧倒的なパフォーマンスを生む源なのだと感じました。
勝てる営業マンは「会う価値のある人」だけ
最後に本書の中で、最も響いた言葉を引用させていただきます。
今はもう自分の利益だけを追う営業パーソンはいりません。購買者に必要とされるのは会う価値がある人だけなのです。
営業マンは、どこまで行っても自分の数字からは逃げられない。なんとしても数字を達成しなければならないので、キレイゴトばかりは言ってられません。
そんな中でも、自分自身や、会社の利益の為だけにセールスをやっている営業パーソンは、お客様に見抜かれてしまうし、理念や信念なきセールスは、どこまで行っても相手の時間を奪うだけ奪って、何も生み出すことはないのだと思います。
『お客様のために…』、このように言うことは誰でもできますし、上部だけならばなんとでも言えます。
お客様にとって、「あの営業マンに会いたい」「あの営業マンに相談したい」、このように思ってもらう為に、『今の自分に何ができるのか?』『どんな価値提供が自分にはできるのか?』もう一度、営業マンとして、やるべき原点に立ち返って、『会いたい』と思ってもらえる営業マンを目指したいと思います。
最後に、セールスの仕事の「楽しさ」や「やりがい」を、あらためて思い出させて頂いた、セレブリックスの今井さんに感謝申し上げます。
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