先日、山口周さんの「ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す」という本を読んだので、その感想をツラツラと書いていきたいと思います。
山口周さんといえば、「パブリックスピーカー」「ナレッジキュレーター」と呼ばれており、電通やボストンコンサルティングといった名だたる企業でも活躍されていた有名な方です。
山口周さんの代表的書籍はこちら。
どれも名著ですね。今回は、「お金を稼ぐビジネスと、働く人たちの価値観はこの先どのように変化するのか?」というテーマなので、世のビジネスマンは必読の書籍であると思います。
新時代に乗り遅れないように、共に学んでいきましょう。
ビジネスはその役目を終えようとしているってホント?
本書の冒頭から、「世の中のビジネスはすでに役目を終えようとしている」という衝撃的な内容で始まります。
ビジネスの役目が終わるのならば、「なぜ、僕は毎日セカセカと汗を流して働いてるんだ」と思うのですが、山口さん曰くこれから世界は「グレートリセット」という、これまでの資本主義を一度リセットして、「新しい価値観で生きていこう」というフェーズに入るそうです。
新しい価値観というのは、毎日毎日やりたくもない仕事に忙殺されて、幸福感を失っているんじゃなくて、「自分の中の衝動を大事にしろ」「自分の心が動くことを大切にしろ」というなんとも素晴らしい価値観が当たり前の時代が来るというのです。
つまりこれまでのように、経済活動を重視してガムシャラに働くのではなくて、とにかく自分の人間性を重視して生きなよということ。
もし、このグレートリセットが起こるのならば、「今この場でリセットしてくれ」。そう思った人が多いことでしょう。
ちなみに僕は今すぐにリセットしてくれて構わない。そう思いました。
9割以上の人たちが人生を浪費している
世の中の、9割以上もの人たちが人生を浪費しているそうです。(ほとんどの人じゃないですか。僕はこの9割に入ってます。)
アメリカのギャラップ社の調査によると、全世界の労働者を対象とした調査で、仕事に対して前向きに取り組んでいると答えた人の「世界平均割合は15%」だそうです。
そして、日本ではそのスコアはなんと6%。94%の人たちが仕事に後ろ向きだということですね。(ほとんどの人がやりたくもない仕事をやって消耗してる。)
日本の生産性が著しく低いという理由も頷けます。だって、ほとんどの人が仕事することに後ろ向きだということですもんね。(お前はどうなんだ。)
今のまま、売上や利益のような数字だけをひたすらに追い続けるような仕事のやり方では、人は幸せにはなれないということがわかります。
もうアメリカの背中は追わないで!
日本にとってアメリカって、先に流行りとかトレンドを見つけてくるオシャレな先輩みたいな存在じゃないですか。(この比喩力)
アメリカで流行った物が、時間が経過してから日本に流れてくるし、日本にとってアメリカとの関係は切っても切れない関係ですよね。
しかし、もう憧れの先輩であるアメリカの兄貴の背中を追わないでいいよ、と山口さん仰っています。
ではどこを目指すのか?「これからは北欧を目指せ」と言い切ります。北欧ってどこだっけという方のために、この辺りです。
これからは「大きな北欧型社会民主主義社会」を目標にするんだ。と山口さん仰ってます。
北欧といえば「フィンランド」。フィンランドといえば「世界一幸福な国」と言われてますね。フィンランドは日本よりも人口が少ないのに、GDPが日本より高いです。
そして、労働時間か日本よりも短い。週休3日だし、ほとんどの人が16時には仕事を終えるというフィンランド。これを聞くと、確かに日本は北欧方を目指すべきなのではと思います。
ただ、日本が北欧型を目指すならば、爆発的な増税が必要だなとも感じます。
インストルメンタルが人を苦しめている
本書では「インストルメンタル」という言葉が何度も出てきます。
インストルメンタルとは「明日のために今を我慢して努力する」ということだそうです。
「老後に困りたくないから、今はお金を使わずに節約して残業たくさんするぞ!」という考え方ですね、日本人にありがちな美徳ですね。
でも、これだと、苦しいことばかりですよね。
毎日毎日、我を忘れてやりたくもない仕事をして、ただただ時間に追われていく。つまりインストルメンタルな生き方が、人々を苦しめてしまっているんです。
昭和時代は、世の中にはまだ物であふれてなかったし、色んな国とビジネスで競走しながら、日本は経済大国になったのも事実ですが、現代は必要な物はスマホひとつで買えるし、明日食べるものにも困らない時代になりました。
なので、そろそろインストルメンタルな生き方から脱却しないとね。と山口さんは仰っています。
コンサマトリーな生き方をしろ
ここで「コンサマトリー」という新たなワードが出てきます。
コンサマトリーとは「明日のために今を犠牲にせず楽しむ」ということです。
インストルメンタルのように「未来のために!明日困らないために!今、血ヘド吐くほどの努力を!」という考え方がブラック企業で耐え抜いてきた僕には理解できる反面、その考えは人の本能そのものを押し殺していますよね。(あの時はよく耐え抜きました)
明日のために今を我慢して努力するよりも、今を犠牲にせずに純粋に楽しむ「コンサマトリー」な生き方が、これからは大切なんだと教えてくれています。(あの頃にこの考えを推奨して欲しかった)
やりたくない仕事をする時代はもう終わり
本書の主張であり結論ですが、やりたくない仕事をする時代は、もうそろそろ終わりが近づいているということです。
これからの未来は「我慢のための労働」に時間を使うのではなく、いかに「自分の心が動くこと」を仕事として成立させられるかにかかっていると感じました。
GDPを追い続けて経済を重視する大量消費の時代が終わり、大きく開いてきた格差を解決するために与え合う事が前提になる世の中で、ついに労働と遊びの境界線はなくなり、自分のペースで夢中になれることに没頭する。
生きることや働くことに、ただ消耗して我慢し続けるのではなく、人らしく生きる時代が到来する。
これだけを聞くと、誰もが理想とするユートピアが待ち受けていると思うのですが、そんなカンタンにはうまくいかないですよね。
これまでも時代の変化や価値観が大きく変わる時には、これまでの常識に対して、「それは違う!」、「このように進んでいくべきだ!」と、声を上げてくれる人たちがいたのです。
山口周さんもその1人だと思います。
新時代の資本主義ハッカーたれ
本書で語られてきた、人が労働や経済に振り回されて生きるのではなく、人として本能のままに生きるためには、革命者の声を待っているだけでは進まないと思います。
今を生きる一人一人が、今ある世界に対して違和感を持ったのならば、その違和感を言葉にして声をあげていく必要があるのです。
今を生きる一人一人が古い価値観をハックする、資本主義ハッカーたれ。
この言葉をもって、本ブログを締めさせて頂きます。
より深くビジネスの未来や、人間の在り方を理解したい人は、是非本書を手に取ってみてください。
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