「今のままでいいのだろうか…」「自分の将来に不安がある…」実際に言葉には出さないものの、漠然とした不安を抱えながら働いているビジネスパーソンって意外と多いと思います。
人生100年時代の「キャリア形成」にモヤついている人におすすめしたい書籍があります。
Work in Tech(ワークインテック)
著者の森山大朗さんは、ビズリーチ・メルカリ・スマートニュースといったユニコーン企業への転職を繰り返し経験することで、自身の市場価値を高めてきた方です。
現在は、スマートニュースのプロダクトマネージャーとして、テクノロジーを活用したプロダクト開発を行い、事業成長を推進する仕事をされてます。
僕は、森山さんのVoicyのヘビーリスナーであり、毎朝楽しみに聴かせてもらっています。
「Work in Tech(ワークインテック)」を読んで、個人的に響いたことをまとめていきたいと思います。
失敗が賞賛されるブレイムレスカルチャー
森山さんが勤めていたメルカリのエンジニエアリング組織には「ブレイムレス」というカルチャーがあるそうです。
初めて聞いた言葉ですが、「ブレイムレス」とは大胆な挑戦を促すカルチャーのこと。
それぞれが勇敢に挑戦できる活発な組織にする為には、失敗した人にすべての責任を押し付けるような文化であってはならないわけです。
組織として大胆な挑戦を促したければ、問題の責任を個人に押し付けるような文化であってはなりません。
Work in Tech(ワークインテック)より引用
何か問題が起きた時に犯人を探したり責任の所在を「個人」に求めて人を処分したりしても、真因がますますわからなくなり解決から遠ざかるだけだからです。
日本の会社組織は失敗や挑戦に対して、寛容でないことが多いです。たった一回、失敗しただけで当事者を追い詰めたり、会議で新しいアイデアを意見しても、ねじ伏せられて、挑戦する権限さえもらえない人もいます。
そんなカルチャーでは革命的なチャレンジャーは現れないですよね。
失敗を恐れない「勇気ある行動」を起こせる人がいるから、組織は大きな成果を生み出すことができます。
その背景には、たとえ失敗しても、その失敗を賞賛する人たちがいるからこそ、その関係は成り立っているはずです。
そもそも挑戦のほとんどって失敗ですよね。メジャーリーガーの大谷選手の打率は調子が良い時で3割です。
あれだけ活躍していても、10回バッターボックスに立ったら、7回はアウトを取られている。成功することってそれだけ難しいわけです。
そして、「挑戦する人」は応援する人に支えられてます。
失敗を賞賛してくれる人がいるから、人は何度でも立ち上がり、失敗を恐れることなく、勇んで挑戦することができるのだと思います。
ブレイムレスなカルチャーがもっと多くの組織に拡がったら、日本の閉塞感はもっとなくなっていくのだろうなぁと感じます。
成長企業で「個人の成長」にレバレッジをかける
僕はユニコーン企業のような、光速で成長している企業で働いたことがないので、その勢いたるや想像はできませんが、所属している会社のスピード感で自分の成長速度は大きく変わるのだろうなぁと思います。
環境ごと爆発的に成長する状況に身を置くと、急激な変化に伴って、普通の人にも抜擢と成長のチャンスがやってきます。
Work in Tech(ワークインテック)より引用
僕は数々の急成長企業でそんな光景を何度も目にしてきました。
もちろん、個人の成長にはその人自身の努力も必要ですが、身を置く環境次第で成長度合いは大きく変わるはず。
アメリカの起業家であるジム・ローンの「あなたは最も多くの時間をともに過ごしている5人の平均である。」という名言がありますが、この言葉通り、自分が所属している環境のスピード感やレベルが高ければ、それに伴って自分のレベルも上がっていきますよね。
需要が減って衰弱しきっている業界では、たとえ自分が寝る間も惜しんで長時間労働しても、休日返上で働いたとしても、数字の面でも限界がくるし、どこかで自分の成長にも歯止めがかかるのではないかと思う。
急成長している業界なら、自分の努力量に応じて伸びていくし、会社や業界の成長というレバレッジがかかることで更に飛躍した成長を実感できるのだと思います。
自分のポジションを決めずに境界線に立つ
本書ではマージナルマンという言葉が出てきます。マージナルマンとは、心理学者のレヴィンが名付けた言葉で、もう青年ではないけれども成人になりきれていない境界線にいる人たちのことを指しています。
つまり「子供」と「大人」どちらにも属さない人たちのことを、マージナル・マン(境界人)と呼んだのです。
森山さんが通っていた大学の教授が、このマージナルマンに対して、このように語っていたのが印象的でした。
歴史上どの時代においても、一見して異なる性質を持つ2つの規範や社会の境界線に立つ人間こそが、時代を動かしてきた張本人だ。
Work in Tech(ワークインテック)より引用
だからこそ世の中で活躍したければ社会を動かしたければマージナルマンになれ、常に境界線上に立ち続けろ。
価値観の違う集合体の境界線に立つことで、様々な情報を得ることができるようになります。
自分の範囲をここまで!と決めつけると得られるものは半減してしまいますよね。自分が担当する業務があるなら、あえてそのエリアの境界線に立ってみる。
そうすることで境界線の向こう側の情報が入ってくるようになるし、自分の業務範囲の課題も見えてくる。
何かを大きく変えたいなら、常に自分の担当エリアの境界線に立つという意識が大切だと感じます。
自分という商品を作りあげ拡散していく
「自分という商品を再設計する」会社勤めしているサラリーマンからしたら「そんなの自分には関係ないよ」と思いそうな言葉ですが、「そんなことはない」これから生き残りをかけていく上で、全てのビジネスパーソンが意識すべき言葉だと思う。
自分を探すな、自分を作れ
Work in Tech(ワークインテック)より引用
よく「自分の強みが分からない」という人に出会ったりしますが、そのような人に圧倒的に欠けているのは「自分を作る」という視点だと思います。
自分の特徴や強みは、決して他人から教えてもらうことではありません。自分自身の強みは自分の手で作り上げるものです。
自分が「磨きあげたいもの」を自分の目で選び、そこを目掛けて自分と向き合うからこそ自分という名の商品が強くなっていくはず。
「自分探し」という自分を慰めるゲームに酔うのではなく、「自らを自らで作り上げる」というマインドセットが、これからは特に重要になっていくと思います。
「安定した成長」を求めることで一生食いっぱぐれなくなる
本書では「安定思考」を持つことで、より「安定した成長」を追い求めるようになり、「変化に負けない働き方」ができるようになると書かれています。
時代が変化しようと、企業が倒産しようと、好奇心をもってテクノロジーと共存し、新たな成長市場に移動できる力と、自分を変化させていく力があれば、それこそ一生食いっぱぐれないで済みます。
Work in Tech(ワークインテック)より引用
これが安定志向で何が悪いと僕が言っている真の理由なのです。
更なる成長を求めたいけど今は動けない。年齢を追うごとに未知なるステージへの挑戦はリスクもハードルも高くなりますよね。
そんな時は、本書に書いてある通り、これまで経験してきた職種自体は変えずに、スピード感が早い会社や業界に移るのが得策なんだと思います。
自分を成長させるには変化が激しい環境に行くのが一番。「安定した成長」を求めることで自分自身の市場価値も高まっていくのだと思う。
転職とは企業と個人の課題解決である
これもすごくドンズバでした。転職とは「課題解決」である。
企業と個人、双方にとって課題解決になっているのが転職の理想の形です。転職を考えている皆さんも是非「今回の転職で両者の課題は解決できるか?」という視点で頭の中を整理してみてください。
Work in Tech(ワークインテック)より引用
転職することの目的が、自分だけの欲求を満たそうとするとかなりの確率で失敗するのではないかと思います。
確かに、転職とは「求職者側の課題」と「企業側の課題」の双方を解決に導くことが理想の形です。企業が採用活動する時の目的は、自社の課題を解決してくれる人を求めているのだから。
そう考えるならば、自分という存在がその企業の課題に対して、どんな価値提案ができるのかという視点が生まれると思う。
悩みを持って悩みを制する
悩みを持って悩みを制する。悩みのレベルを上げるとでもいうのでしょうか。すごく面白い考え方だと思いました。
友達と不仲になってしまった悩みを「解決する」のではなく、より大きな悩み、僕の人生にとって重要な悩みをあえて抱えにいくことで脳のリソースがそっちにもっていかれます。それによって問題は解決しないけど「解消する方向」に向かっていったのです。
Work in Tech(ワークインテック)より引用
人の悩みがなくならないのであれば、より大きな悩みに立ち向かっていくことで、物事の視座を高めていく。
小さい悩みにクヨクヨしている暇があるなら、自分の人生にとってプラスになる悩みをあえて作ってしまえばいい。
このように悩みに対して前向きな考えを持つことで、より人間性を磨き、人としての器も大きくなるのではないかと思います。
状況や変化を面白がるセンス
何事も「面白くする力」は現代において大切なスキルだと思います。
変化が激しい時代は、「状況を面白がるセンス」こそが最強です。なぜなら、変化そのものが、その人を突き動かすモチベーションになるからです。
Work in Tech(ワークインテック)より引用
「仕事がつまらない」「上司がこうしてくれない」「会社がこうしてくれない」、今の現状を楽しめていない人は、面白くする工夫が足りないのだと思います。
つまらない日常も、退屈なルーティンワークも、ちょっとした仕掛けや工夫をすることで、意外と面白くなったりしますよね。
与えられた環境下で、自ら楽しくなることを考える。
シンプルなことですが、これが意外とできないことだから、やってみる価値があると思います。
【まとめ】自分の成長に限界を感じたら「Work in Tech(ワークインテック)」を読もう
「Work in Tech(ワークインテック)」非常に読み応えのある一冊でした。
また本棚に残しておきたい本が一冊増えてとても嬉しい限り。
これからAI・DX・テクノロジーによる変化は更に勢いを増していくはずです。
先が読めない時代だからこそ、自ら能動的に動き、情報を得ていく必要があると感じます。この機会に、自分の働き方を再設計したい人はぜひ手に取ってみてください。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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